【法律情報】米国におけるM&Aのトレンド
某米国系ローファームの弁護士から、米国におけるM&Aのトレンドについて聞く機会があったので、備忘録的なまとめ。
①表明保証保険
一番興味深かったのが、表明保証保険(Representation and Warranty Insurance)について。
米国でも数年前まではほとんど誰も気にしていなかったのが、ここ数年のディールではかなり意識されるようになり、特に直近1年で扱ったディールではほぼ必ず交渉上のポイントとして挙がったとのこと。
日系企業が買い手となったディールでも表明保証保険条項を入れたケースもあったとのことです。
カバー範囲は色々ですが、当然広いカバー範囲にすればするほど保険料があがる。環境やTax、FCPA、fraudについて等はカバー範囲外とすることも多いらしい。
特に興味深かったのが、保険会社としては、これから表明保証保険を広く売っていきたいと考えており、実績作りのために、出来るだけ支払いをするインセンティブが(現時点では)あるとの話。今ディールをやるなら、表明保証保険を使うとお得かも!?
②CFIUSレビュー
米国では、外国企業の米国企業買収の際には、主に国家安全保障の観点から問題がないかをチェックするため、対米外国投資委員会(CFIUS)による審査が行われます。
これ自体は前からあったのですが、最近CFIUSの審査を経るケースが増えているとのこと(以下のリンクの通り、審査が以前よりも厳しくなっているとの情報もあるようです)。
Jones Day | ジョーンズ・デイ・アラート:対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が厳格化の傾向
今日話しを聞いたファームでは、CFIUS専門のチームを持っており、必要に応じて当局と交渉したり、匿名ベースでの事前問い合わせ等をしているそうです。国家安全保障の観点からの審査とはいっても、必ずしも軍事に関わるものだけではなく、インフラ関連等かなり幅広い分野につき問題がないかチェックがされるようです。
③価格調整条項
クロージングまでの財政状況の変化に合わせて価格調整する条項を入れるのは日本でもよくありますが、米国の最近のトレンドとして、特にPrivate Equityが当事者となる場合に、Working Capitalによる調整条項を入れる場合が増えているとのこと。