記事をアップデートしました!
以下の2記事につき、内容をアップデートしました。
・【インハウス情報】インハウスローヤー(企業内弁護士)関連のブログまとめ - インハウスローヤーのネタ帳
・【インハウス情報】インハウスローヤー(企業内弁護士)関連のネット上の情報まとめ - インハウスローヤーのネタ帳
記事をアップデートする過程で思ったのは、まだまだ日本のインハウスローヤーの情報は非常に限られているな、ということ。
企業法務実務の情報自体はネット上でも相当程度手に入りますが、特にプライベートプラクティス(いわゆる法律事務所での業務)を経験してからインハウスに移った人が発信している情報は、ほとんど見当たりませんでした。
これから絶対に増えていくキャリアパスだと思うので、もっと情報が増えていくといいなと思います。
【仕事術】弁護士が実践しているケアレスミスの減らし方
弁護士も人間である。ミスを完全になくすことはできない。
しかし、契約書を作成したりレビューするにあたり、記載ミスや確認漏れがあると、場合によっては契約交渉自体にも影響を与えかねない。
また、せっかく専門知識を磨いても、ケアレスミスがあっては、専門知識を正しく契約書に反映することができない。
さらに、時には「ちょっとしたケアレスミス」が、作成・レビューした契約書全体の信頼を損ねてしまうことさえある(そのようなミスは、主観的には「ちょっとしたケアレスミス」であっても、客観的には重大なミスと言えよう)。
そこで、基本的なことではあるが、自戒をこめて、いかにしてケアレスミスをなくすか、ということについて考えてみたい。なお、ここでケアレスミスとは、誤字・脱字、数字や表現の誤記、記載すべき事項の記載漏れ、内部コメントの消し忘れ、バージョン管理ミス(たとえば、最新版ではなく一つ前の版にコメントをいれてしまう等)等の、いわゆる形式ミスを言う。
対策①
自分で見直しをする。
当たり前のことであるが、一度最後まで作成・レビューをした後、ケアレスミスがないか、見直す必要がある。心構えとしては、ケアレスミスがないか見直すというより、必ずあるという前提で、それを発見するつもりで見直すとよいだろう。
自分がよく間違う事項のチェックリストを作っておき、それを横に置きながら見直す癖をつけると、有用と思われる。イチロー選手がバッターボックスで行う一連の動作や五郎丸選手の指立てポーズのように、ルーティーン化すると良いのではないか。ボールを蹴る(プロダクトを世に出す)前に行う一連の動作を決めておくことで、成功の確率を上げるのである。
なお、報道によれば、五郎丸選手の指立てポーズを含む一連のルーティーンは、「4年かけて作り上げた」ものだそうである(五郎丸歩 あのポーズの秘密を告白)。弁護士としても、日々チェックリストをブラッシュアップし、自分にとってベストなルーティーンを練り上げたいところである。
筆者個人のチェックリストは、折をみて公開したい。
対策②
他人にダブルチェックしてもらう。
どんなにハイレベルな人でも、必ず、ミスは生じる。ミスは生じるものという前提で、時間が許す限り、他人にダブルチェックをしてもらうことが有用である。特に、人間の思い込みというのは案外強力で、何度自分で見直したつもりでも、間違いをスルーしてしまうことがある。どこで読んだか忘れたが、脳が大量に入ってくる情報の処理を効率化するため、一定のフィルター(つまり思い込み)をかけている、等という説もあるようだ。
第三者の眼からチェックすると、こういった思い込みによるミスを発見することができる場合がある。対策④ともつながるが、ダブルチェックができるだけの時間を確保することも重要であろう。
対策③
プリントアウトして見直す。
パソコンのモニター上では発見できなかったミスを、プリントアウトするとなぜか発見できる場合が多々ある。
対策④
十分に時間を取る。
焦りは間違いの元。なかなか実務において契約書作成・レビューに十二分に時間を取ることは難しい場合も多いが、間違ってから直す手間を考えれば、最初に充分時間を取って作業したことが結局は時間の節約になる場合が多い、ということを依頼者(社外であれ社内であれ)に説明して理解してもらう、というのも弁護士のスキルの一つであろう。また、依頼者が理解のある人物であるとしても、そもそもこちらが作業見込みを伝える際に、充分なリードタイムを取れるよう、見込時間の読みをなるべく正確にすることも大切だ。他の作業との優先順位をきちんとつけて段取りよく進めることも重要であるし、予想外の事情で作業に遅れが生じそうな場合には、はやめはやめに相談して調整する必要がある。これをしないと、焦ってミスが生じる。
対策⑤
よく寝る。
睡眠不足はケアレスミスの最大の供給源である。同様に、食べ過ぎ(→眠くなる)やストレスもケアレスミスの元となるので馬鹿にできない。よく寝て適度に美味しいものを食べハッピーに過ごすことがケアレスミス軽減につながるのである。なお、ケアレスミス軽減が、ストレス軽減につながり、これがケアレスミス軽減につながるという良いサイクルも期待できる。
対策⑥
五感を使う。
指差確認、声出し確認等、五感をフル活用することで、意外なミスに気付くことができる場合がある。
対策⑦
経験を積む。
どれだけベストを尽くしても、ミスる時はミスる。
ある程度割り切って、ストレスを溜めないようにしつつ、次に同じミスをしないよう対策を立てて実践することが大切だ。
以上、つらつら思いついたままに述べた。
なお、こんな記事を書こうと思い立ったのは、最近自分がケアレスミスをしてしまったからである。
ざんねん!
【法律情報】米国におけるM&Aのトレンド
某米国系ローファームの弁護士から、米国におけるM&Aのトレンドについて聞く機会があったので、備忘録的なまとめ。
①表明保証保険
一番興味深かったのが、表明保証保険(Representation and Warranty Insurance)について。
米国でも数年前まではほとんど誰も気にしていなかったのが、ここ数年のディールではかなり意識されるようになり、特に直近1年で扱ったディールではほぼ必ず交渉上のポイントとして挙がったとのこと。
日系企業が買い手となったディールでも表明保証保険条項を入れたケースもあったとのことです。
カバー範囲は色々ですが、当然広いカバー範囲にすればするほど保険料があがる。環境やTax、FCPA、fraudについて等はカバー範囲外とすることも多いらしい。
特に興味深かったのが、保険会社としては、これから表明保証保険を広く売っていきたいと考えており、実績作りのために、出来るだけ支払いをするインセンティブが(現時点では)あるとの話。今ディールをやるなら、表明保証保険を使うとお得かも!?
②CFIUSレビュー
米国では、外国企業の米国企業買収の際には、主に国家安全保障の観点から問題がないかをチェックするため、対米外国投資委員会(CFIUS)による審査が行われます。
これ自体は前からあったのですが、最近CFIUSの審査を経るケースが増えているとのこと(以下のリンクの通り、審査が以前よりも厳しくなっているとの情報もあるようです)。
Jones Day | ジョーンズ・デイ・アラート:対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が厳格化の傾向
今日話しを聞いたファームでは、CFIUS専門のチームを持っており、必要に応じて当局と交渉したり、匿名ベースでの事前問い合わせ等をしているそうです。国家安全保障の観点からの審査とはいっても、必ずしも軍事に関わるものだけではなく、インフラ関連等かなり幅広い分野につき問題がないかチェックがされるようです。
③価格調整条項
クロージングまでの財政状況の変化に合わせて価格調整する条項を入れるのは日本でもよくありますが、米国の最近のトレンドとして、特にPrivate Equityが当事者となる場合に、Working Capitalによる調整条項を入れる場合が増えているとのこと。
【雑感】弁護士費用保険は支払われない?
興味深いブログ記事を読みました。
弁護士費用特約(弁護士費用保険、以下総称して「弁護士特約」といいます。)は、ご自身側の自動車保険に付帯されている保険で、一般に限度額300万円までは弁護士費用を損保会社が負担するというものです。
(中略)
ソニー損害保険株式会社(以下「ソニー損保」といいます。)、SBI損害保険株式会社(以下「SBI損保」といいます。)の2社につきましては、弁護士費用の支払いをめぐるトラブルが多発しております
(中略)
当事務所としては、このような適正な評価を超え、依頼者様が支払った保険料により成り立っている損保会社が、支払う保険金を少しでも減らそうと、弁護士による依頼者様のための正当な業務遂行を過少に評価したり、時には難癖をつけてくるような状況を看過することはできません。
(以下略)
私自身は、交通事故案件はやったことがなく、弁護士費用保険(弁護士費用特約)に絡んだ保険会社対応をやったこともないのですが、なかなか大変そうですね…。
なお、弁護士費用保険は、「権利保護保険」とも呼ばれ、2000年から発足した保険です(参照:日弁連ホームページ)。交通事故以外にも、色々な保険がありますが、特に最近になって広まってきたように思われます(統計等は見ていないので、あくまで感覚ですが…)。
最近では、損害保険の特約ではなく、個人が入れる弁護士費用保険なんていうのもでている模様(弁護士費用保険「mikata/ミカタ」【プリベント少額短期保険株式会社】)。
これなんて、要は個人向けの顧問契約という感じで、新しい潮流、なのでしょうか。
弁護士増員時代の一つの試みとして、注目していきたいと思います。
日本はロースクール制度や裁判員制度等、司法の様々な面でアメリカの後追いをしていますが、こういう弁護士保険のアメリカでの位置づけもちょっと興味深いところです。
【雑感】年収1000万円~1億円を目指すのか問題。
講演などのログをまとめたサイト「ログミー」より、初の民間出身校長として知られる藤原和博氏の講演を読みました。
一言でまとめると、「100人に1人位のスキルを3つもって、100万人に1人のレアカード化しよう」というお話。
まずは野暮な突っ込みをすると、弁護士について、「食えてる弁護士は1時間3万円とります」といわれてますが、そこで挙げられている例は離婚相談。たぶん、1時間3万円とる弁護士は、多くは企業法務系なんじゃないかな…。日本の企業法務系の大手法律事務所のアワリーチャージ(1時間あたりの相談料)は、英米系の法律事務所に比べると非常に低いですが(半分から3分の2位)、それでだいたい、シニアパートナーで1時間6~8万円、アソシエイトで2.5~4万円、というところかと思います。離婚相談とかの、企業ではなく個人相手の案件の場合は、通常は1時間あたり1万円位ではないかと思われます。
さらに突っ込むと、「1時間3万円」というのは、あくまでお客さんに請求する額で、自分の懐に入る額は別、というところ。弁護士事務所といえど、家賃、人件費、書籍代諸々、色々かかるので、当然その分は差し引かれるわけです。しかも、働いた時間そのまま請求できるとは限らないので、年収を総労働時間で割った時給で考えると、かなりビミョーな感じになることも多々あるように思われます。アソシエイト(雇われ)の身分だと、結局自分の時間を売る仕事になるので、長時間労働を免れ得ないのもつらいところ。他方で、パートナー(共同経営者)の立場になって、アソシエイトを多数使える案件が取れれば、アソシエイトが働いた分も実入りになるので、収入的には美味しくなります(しかし当然、経営上のリスクもある)。
このように弁護士的には細部に突っ込みどころがあるものの、「何にでも1万時間費やせば100人に1人になれる」、そして「100人に1人位のスキルを3つもって、100万人に1人のレアカード化しよう」という話の主旨それ自体は、論理的だし、共感できました。また、「レアカード化した結果、仮に頑張れば1億円を稼げるとしても、あえて1億円を目指さず(現金化せず)、収入は3000万円分くらいにして、7000万円分の余裕をもつほうが賢い」という考え方も、なるほどなー、と。
この話に一つ付け加えるとすれば、「何にでも1万時間費やせば100人に1人になれる」という前提のところについては、ちょっと補足が必要じゃないかな、と思いました。
人間誰だってただ生きているだけで時間を過ごしているわけで、漫然と1万時間を過ごしても、100人に1人にはなれないことは明白です(例えば、トータル1万時間睡眠をとったって、100人に1人の睡眠の達人にはなれない)。何かテーマと目標をもって、ある方向に1万時間進めば、100人に1人のところに到達できる、というほうがしっくりくるな、と思いました。あるゴールに向かって1万時間を積み重ねるのは、100人に1人位しか出来ないでしょう、きっと。
弁護士をしていると、自分の差別化、ブランディングということは常に考えます。これはインハウスローヤーでも同様だと思っています。何かを1万時間続けるというのは、よほどそのことが好きか、何か「これならいける」という思いこみがないとできないとおもいますが、うまいことそれを見つけて、いくつか組み合わせて自分の武器にしていければ、いつかは年収1億円!?(は無理でも、どこでも食うに困らないようになれたらいいなぁ)
インハウスローヤー(企業内弁護士)のスキルアップに役立つ資格等まとめ
インハウスローヤー(企業内弁護士)のスキルアップに役立つのではないかと思われる資格について、思いつくままに列挙します。
→会社内部にいるからこそよく問題になるようなリスクを網羅できる、か?
やったことはないのですが、気になるのでチェック。
・簿記
・英語
【インハウス情報】インハウスローヤー(企業内弁護士)関連のブログまとめ
インハウスローヤーの方が書いていると思われるブログを見つけ次第リストアップしていきます。
ここでインハウスローヤーとは、企業に属している有資格者(日本か、国外かを問わず)を意味するものとします。企業法務に関わっている方のブログ全般については、別途まとめたいと思います。
しかし、色々検索して探してみたものの、企業に属しておりかつ有資格者でブログを書いている方は、想像以上に少ないようで、なかなか見当たらないです…。特に、もともとプライベートプラクティスで、インハウスに移った人のブログは発見できませんでした(2015年12月現在)。まだそもそもインハウスの数が少ないからでしょうか。今後はますます数も増えていくと思いますので、当ブログでインハウスローヤーとして情報発信することにも、多少なりとも意味があるのかなと考えています。
2005年からはじめて、もう10年も続けているという、息の長い有名ブログ。法律についての話題だけではなく、スポーツや音楽等、幅広い話題が取り上げられている。やや硬い文調。よく考察されている記事が多く勉強になる。脚注が多いのが特徴。
2014年までインハウスローヤーだったが、その後プライベートプラクティスにうつられたようなので、現在はインハウスではないが、リストアップ。
まだ弁護士資格は取得されていないようだが、カリフォルニア州司法試験を受験されているようなのでリストアップ。
【更新履歴】
2015年10月5日 記事作成
2015年12月11日 「ベンチャー弁護士の挑戦ブログ」、「日々、リーガルプラクティス。」追加。