インハウスローヤーのネタ帳

弁護士業界動向、インハウス動向、インハウスでのスキルアップ等

【雑感】年収1000万円~1億円を目指すのか問題。

logmi.jp

 

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講演などのログをまとめたサイト「ログミー」より、初の民間出身校長として知られる藤原和博氏の講演を読みました。

一言でまとめると、「100人に1人位のスキルを3つもって、100万人に1人のレアカード化しよう」というお話。

まずは野暮な突っ込みをすると、弁護士について、「食えてる弁護士は1時間3万円とります」といわれてますが、そこで挙げられている例は離婚相談。たぶん、1時間3万円とる弁護士は、多くは企業法務系なんじゃないかな…。日本の企業法務系の大手法律事務所のアワリーチャージ(1時間あたりの相談料)は、英米系の法律事務所に比べると非常に低いですが(半分から3分の2位)、それでだいたい、シニアパートナーで1時間6~8万円、アソシエイトで2.5~4万円、というところかと思います。離婚相談とかの、企業ではなく個人相手の案件の場合は、通常は1時間あたり1万円位ではないかと思われます。

さらに突っ込むと、「1時間3万円」というのは、あくまでお客さんに請求する額で、自分の懐に入る額は別、というところ。弁護士事務所といえど、家賃、人件費、書籍代諸々、色々かかるので、当然その分は差し引かれるわけです。しかも、働いた時間そのまま請求できるとは限らないので、年収を総労働時間で割った時給で考えると、かなりビミョーな感じになることも多々あるように思われます。アソシエイト(雇われ)の身分だと、結局自分の時間を売る仕事になるので、長時間労働を免れ得ないのもつらいところ。他方で、パートナー(共同経営者)の立場になって、アソシエイトを多数使える案件が取れれば、アソシエイトが働いた分も実入りになるので、収入的には美味しくなります(しかし当然、経営上のリスクもある)。

このように弁護士的には細部に突っ込みどころがあるものの、「何にでも1万時間費やせば100人に1人になれる」、そして「100人に1人位のスキルを3つもって、100万人に1人のレアカード化しよう」という話の主旨それ自体は、論理的だし、共感できました。また、「レアカード化した結果、仮に頑張れば1億円を稼げるとしても、あえて1億円を目指さず(現金化せず)、収入は3000万円分くらいにして、7000万円分の余裕をもつほうが賢い」という考え方も、なるほどなー、と。

この話に一つ付け加えるとすれば、「何にでも1万時間費やせば100人に1人になれる」という前提のところについては、ちょっと補足が必要じゃないかな、と思いました。

人間誰だってただ生きているだけで時間を過ごしているわけで、漫然と1万時間を過ごしても、100人に1人にはなれないことは明白です(例えば、トータル1万時間睡眠をとったって、100人に1人の睡眠の達人にはなれない)。何かテーマと目標をもって、ある方向に1万時間進めば、100人に1人のところに到達できる、というほうがしっくりくるな、と思いました。あるゴールに向かって1万時間を積み重ねるのは、100人に1人位しか出来ないでしょう、きっと。

弁護士をしていると、自分の差別化、ブランディングということは常に考えます。これはインハウスローヤーでも同様だと思っています。何かを1万時間続けるというのは、よほどそのことが好きか、何か「これならいける」という思いこみがないとできないとおもいますが、うまいことそれを見つけて、いくつか組み合わせて自分の武器にしていければ、いつかは年収1億円!?(は無理でも、どこでも食うに困らないようになれたらいいなぁ)